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提言

携帯端末時代のITC

ITC 副所長:楠本 博之


教育・研究のための情報環境を整備、支援するというITCの役割は、研究・教育の変化に応じて変わっていくものです。いろいろな情報を扱うための個人でもっている環境、装置が、近年大きく変化してきたことは、多くの人が感じていると思います。

人や情報とのコミュニケーションツールとして、携帯端末を常に持ち歩いているような生活が、今では普通になりました。少し前までは、ビデオカメラで撮った動画を、デスクトップコンピュータで編集し、作品をディスクに保存したり、WEBで公開したりという一連の作業には、いろいろな機材を準備、使う必要がありました。しかしながら、今や、携帯端末で撮った動画を、その端末上で、またいろいろなクラウドサービスを利用して、編集し、そのままSNS上に保存したり、公開したり、個人の所有する装置で完結させることも可能になっています。むしろ、新た大学に入学してくる学生にとっては、それが「普通」のことであるかもしれません。

そうすると、ある意味、「ITCって何を提供してくれるところだろう」、という疑問が生じてくるかもしれません。別にITCがサービスを提供しなくても、実際に便利に使えるいろいろなサービスを提供している会社などがあるのだからと。実際、ITCの提供しているメールサービスや、ストレージサービスは、外部のそういったサービスを提供している会社のものを利用しているものも多くあります。そのようなサービスを、いわば、「買ってきて」、内部の利用者に提供してるだけだから、仕事は楽だと思われるかもしれません。しかしながら、実際には、義塾における教育・研究に適したサービスを提供するための工夫がいろいろ必要であり、いわゆるセキュリティ対策や、情報保護対策、不適切な利用に関する対策など、ITCが先導して実施しなければならないことは数多くあります。とくに、ネットワークに接続する機器の多くがITCの管理の外にあり、十分なセキュリティ対策が行われているとはいえない現状で、どのように義塾のネットワーク環境、情報利用環境を安全に、そして安定に保つかというのは大きな課題です。

また、大学という、教育・研究の実践の第一線にある機関だからこそできる新たなサービスの模索、実現もITCの課題の一つではないでしょうか。自由度があるとはいえ、ある種画一的な外部サービスのリセールともいえるサービス提供だけでは、コスト面では優位かもしれませんが、必ずしも義塾の実態にあった、利用者本位のサービスを提供できるとはいえません。このあたりは、あらたなサービスを利用者とITCがともに創意工夫、提案できるような環境が必要になっていくのではと思います。

さらに、前述のように個人所有の端末の役割が増大するにつれ、いろいろな面でもセキュリティリスクも高まります。どのように対策、対応していくかも、携帯端末が普及した時代におけるITCの大きな課題です。できるかぎり利用者の利便性を損なわず対策することは、難易度が高い課題ですが、利用者との対話を大切にし進めていかなければならないと思います。

以上、簡単ではありますが、個人の携帯端末が大きな役割を果たす時代におけるITCの役割について、雑感を述べさせていただきましたが、「個人」端末の時代であるからこそ、なおいっそう、「個人」、つまり利用者との対話を大切にし、ITCを運営していく必要があることを強調して、結びとさせていただきます。

最終更新日: 2018年9月12日

内容はここまでです。