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提言

セキュリティ対策

理工学ITC所長:松尾 亜紀子


この記事を読むような方は、きっとインターネットに精通している方であろう。そして、今日では殆どの人がインターネットを使いこなし、日々の生活の一部にインターネットが入り込み、インターネット無しでは生活が成り立たないところまで及んでいるのではないかと拝察する。私もそのような一人であり、ネット環境が無いと落ち着かない。日本にいても国外にいても、必要な時にそこそこ快適にネット接続できる環境がないと落ち着かないのである。実際、いろいろなことが、インターネットで便利になった。その最たるものがショッピングである。買いたいときに買いたいものを「ぽちっ」とすれば、すぐにゲットできる。この環境に慣れると「わざわざ」お店に出向くことが面倒に感じられる。

セキュリティが重要となる銀行とのお付き合いでさえ、インターネットは私達の生活に深く入り込んでいる。と、思っていた。先日、友人と旅行をした際に立て替えたお金のやりとりを行った。外国の地、それなりの金額の日本円を持参して私に支払う友人。私は思わずギョッとしてしまった。なんでここでなのか。確かに日本では住まいは遠く離れており会う機会は少ない。なら、振り込んでくれたらいいじゃない、と思ってしまう。彼女曰く、振込手数料がかかる、とのこと。「○○銀行ならネット振込は手数料0円だよ」って言うと「ネットバンキングなんてしてない」との返答。いたのだ、ここに。確かに私も全ての金融機関でインターネットバンキングをしているわけではないが、近所に銀行やATMが無い場合には、その便利さは素晴らしいものである。なのに、やってない。そしてもう一人の友人も、やっていなかった。実はその集団の中では、私は少数派であり、インターネットバンキングは主流では無かったのである。なぜ使わないのか。それは、ATMや銀行が行けばあるからである。確かに高齢の利用者はインターネットは難しいし、スマホは使いこなせていない。旅先で一緒だった友人達は高齢ではなくスマホはまぁなんとか使っている。そう思うと、私は仕事で忙しい中で振込などをしなければならず、手数料が安い条件を知っているから使っている、少数派なのである。

さて、ここで振込詐欺へと話を移そう。よく思い出せば、振込詐欺の想定場面にはATMが挙げられる。決してインターネットバンキングを想定した、自宅でのPCやスマホは登場しない。やはり、高齢者を狙った詐欺もその辺はよく知っているのだろう。

今回の年報の中でのトピックスは、セキュリティである。今、インターネット接続による数多くのセキュリティインシデントが起きている。残念ながら、理工学部ITCにおいても他と違いはない。本来は便利なはずのインターネットを巡っては数多くの悪者がいて、虎視眈々とシステムの脆弱性につけこんだ攻撃を仕掛けているのである。全くもって許しがたいものではあるが、その被害は減ることはなく、手を変え品を変えて日々アタックしてくるのである。これに対抗するにはどうしたらいいのか。まともに考えると一番の手はインターネットに接続しないことである。つまり、1990年ぐらいの世界に戻れば(その時代には一部の人しかインターネットに接続しておらず、平和であった)良いのかもしれない。このまま、インターネットで悪者が猛威を振るい続ければ、その対抗策としてインターネットユーザーを辞めなくてはならないのかもしれない。そう思っていたのだが、実は違うのかもしれない。個人レベルでインターネットを辞めても、世の中の仕組みがネットワークを組んでいるのである。例えば、銀行のネットワークである。インターネットバンキングはしないことがセキュリティ対策であっても、銀行にいけばATMや窓口があり、振込詐欺にだまされた可哀想な人達が、ATMや窓口でお金を振り込むのである。そのことに気づくとこの世の中、お先真っ暗な気がしてしまう。本当のセキュリティ対策は、自宅に現金を抱え込んで、誰とも会うことなく日々暮らしていく。これが一番なのかもしれないが、それではつまらない。SMSで友人からメッセージを受け、SUICAやPASMOで電車や地下鉄に乗り友人と会ってクレジットカードを使って楽しむ。多少の危険は伴うが、日々の充実には変えられない。実に危険な今日の都市生活であることを認識し、慎ましく暮らすしか手はないようである。

最終更新日: 2018年9月12日

内容はここまでです。