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寄稿

LL教室からCALL教室、e-learningへ ―コンピュータ、ネットワークと外国語教育―

外国語教育研究センター:加藤 祐一


いまや生活になくてはならなくなったコンピュータは、教育、学習にも欠かせないものになりつつあります。一見、ITCやコンピュータとは無縁に思えるかもしれませんが、外国語教育も例外ではありません。

カセットテープ、ビデオなど、様々な機材を使って語学の教育を行う教室はLL(Language Laboratory)教室と呼ばれていましたが、現在はコンピュータを主力としたCALL(Computer Assisted Language Learning)教室が主流になってきています。CALL教室では、PCを学生1人に1台ずつ使用し、様々な機能を駆使して聴覚、視覚に働きかける授業の運営が可能です。

現代のコンピュータネットワークは、文字通り世界中と繋がり、その中にはありとあらゆる情報が氾濫しています。外国語教育の観点からこのネットワークに目を向ければ、教材になり得るものが溢れている宝の山といえる世界です。ちょっとした日常会話、映画や音楽などのエンターテインメント、有名なスピーチetc…これらの音声や動画がネットワークとPCを使うことで容易に手に入り、全て教材になるのですから、これを使わない手はありません。外国語教育研究センター設置のCALL教室では、全てのPCがネットワークに接続されており、いつでもネットから情報を引き出すことが可能です。また、自分の発音を自分で聞いて確かめるという作業は外国語の習得には必要不可欠です。現代のPCの性能をもってすれば、音声の録音もカセットテープ並かそれ以上に簡単に、しかも高音質で実現できます。使っているPCは専用ソフトがインストールされているとはいえ市販のものですから、ワープロソフトを使って、その場で書類を作ることも可能です。

キング牧師のスピーチを動画で学び、それを参考にスピーチ原稿を作成し、自分の声で録音して、音声ファイルを先生に提出する…そんなことが全て目の前のPC1台で出来てしまうのがCALL教室です。

CALL教室の機能はこれだけに留まりません。ネットワークに接続されていることを最大限に活かし、たとえば席の離れた二人がヘッドセットとマイクを介して会話をしたり、数人のグループでディスカッションしながら一つの書類を作成したりといったことが可能です。これはかつてのLL教室の機能では出来ないことです。さらに教員が作成した教材をデジタルデータとして配布することができ、小さなUSBメモリに保存して持ち帰り、学生は自分のPCやポータブルプレイヤー、スマートフォンなど様々な機器で教材を見聞きすることが出来るのです。このようにLL教室にPCが組み込まれることでその可能性は大きく広がりました。

スーパーグローバル大学構想然り、国際社会に人材を送り出すために、外国語教育はより強力に推進されていくでしょう。CALL教室やe-learningは、まだまだ歴史が浅く、成熟したとは言い難い状況ですが、逆に言えばこれからより大きく発展が見込まれる分野です。反面、教材として使用するコンテンツの著作権など、新たな問題が発生する可能性もあります。ITCはハード面のみならず、コンテンツ利用に関わる権利問題の啓蒙など、ソフト面でも外国語教育の根幹となる部分を支える活動を行っています。

外国語教育研究センターでは現在6つのCALL教室を所有し、設置されている数百台のPCは全てITC管理下のネットワークに接続されています。また、センターで設置しているe-learningシステムもITCのハウジング下でサーバーを稼動しています。これらの設定やセキュリティ対策などITCからアドバイスを受けたり、時には作業を依頼したり、センターを運営していく上で、コンピュータとネットワークの専門集団であるITCとの協力関係もまた必要不可欠なものになっています。

冒頭で「一見、無縁に思えるかもしれません」などと述べましたが、むしろ外国語教育こそ、コンピュータ、ネットワークとの親和性の高い分野なのかもしれません。

最終更新日: 2015年9月24日

内容はここまでです。