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巻頭言

「さらなる情報基盤の整備と拡充に向けて」

インフォメーションテクノロジーセンター所長 赤木完爾


 今年(2013年)4月に、長らく懸案であった情報セキュリティポリシーが義塾の規程として制定された。それらは「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ対策基本規程」、「情報システム利用規程」である。これらは引き続き制定を計画している情報セキュリティ関連規程の基本部分である。情報セキュリティのいくつかの側面に関する規程整備は依然残っているものの、スタートできたことをまずは喜びたい。

 もとより規程に盛り込まれた様々な施策を実行し検証し、不断に改善していくことはこれからの課題である。けれども、これまで塾内各部門や教職員の個々の判断で対処していたことに、明確なガイドラインができたことは、それだけをとっても義塾の情報セキュリティの水準が高まったと評価できると考えている。

 今日、高等教育機関に対して、いわゆるリスク管理の観点から様々な社会的要請があることは指摘の要もないが、情報セキュリティも重大な情報事故を未然に防止することが大きな目的である。それは情報基盤そのものが社会一般のインフラとなった現代において、責任ある組織として避けては通れない課題である。近年の著しい傾向として、こうした情報セキュリティへの取り組みが、大学評価の項目として、あるいは研究資金の導入に関する前提条件として重視されつつあることである。こうした趨勢は義塾において厳しく認識されるべきことと考えている。

 この一年のITCの主な事業について略述すれば、東日本大震災の経験から導かれた、学校法人としての事業継続性を確保するための重要情報資産の遠隔地におけるバックアップ体制の構築、および塾生・教職員の安否確認システムの構築が、実用化に向かって大きく前進している。さらに、あらゆる情報システムサービスの基本となるユーザー認証について、より安全で使いやすいシステムの実現に大きく近づいている。またビッグデータに対応可能な次期のキャンパスネットワーク構築についても、2015年なかばの着手を目処とする検討がはじまっている。

 義塾の情報化への取り組みは他を先導していたが故に、反面において過去様々な部門で行われてきた事業において重複投資もあれば、学内のネットワーク・情報システムの複雑化や分断化が生じ、さらにそうした事情から情報セキュリティ対策の困難が否めない現実として存在した。関係者の努力により近時それらは整理改善され、全塾の統一情報基盤が徐々に形成されつつある。今後は教育・研究・経営管理の様々なイニシアティブに柔軟に対処することのできる情報基盤の強化が大きな課題となろう。

 情報基盤の整備と拡充はITCのみで自己完結する領域と、塾内各部門との密接な連携によってはじめて実現可能な領域がある。情報セキュリティ対策一つをとってみても、コンプライアンス強化へ向けての啓発活動は、ITC独自で実施できることは限られている。情報セキュリティに限らず、情報基盤の整備・拡充と活用について、塾内各部門のITCへの積極的な働きかけを期待するとともに、また我々ITCも積極的に提言していくことに努力したいと考えている。他部門との連携なくしては何も進まないというのが、この二年の私の経験である。

最終更新日: 2013年11月12日

内容はここまでです。